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前回の記事に引き続き、「エリック・ミヤシロ Special Talk & Play」のレポートを書いてみようと思います。

第2部はQ&Aコーナーです。
今回のイベントでは参加申し込みの際に質問を受け付けており、その質問が全部で13、さらに会場の聴講者からの質問が5つ、合計18もの質問に時には実演を交えながら丁寧に答えてくださいました。


【Q1】ハイトーンの練習方法を教えてください。
「僕もいまだにいろんな人に聞いてます。」とエリックさん。さらに、「ハイトーンに関する教則本などは全部買って試してます。」と。これには会場の皆さんびっくりしていた様子。
まさかエリックさんが市販の教則本を買って試してるとは思いませんよね。
そして「身体的な条件は人それぞれ違うので、どのやり方が正しいかということは自分にしかわからないと思うのです。」とおっしゃいます。
「なのでどのような練習が自分に合っているかは自分自身で見出すことが大切だと思います。」とのことです。
そして「よく誤解されていることがあるのでお話しておきます。それは、高い音はたくさんの息が必要だと思われていることです。これは間違いではないのですが、そこにポイントを置きすぎだと思います。」と言い、そして「どなたかティッシュを一枚いただけますか?」
1枚のティッシュを受け取ったエリックさんはトランペットを手に取りチューニング・スライドを取り外します。そしてティッシュを細く切り、リードパイプの先端に、パイプの穴を覆うようにたらします。
そして低い「ド」付近の音を吹きのばします。リードパイプの先端のティッシュは当然息に押されて前方に動きます。次にエリックさんはオクターブ高い音を出します。するとティッシュの動きが小さくなります。さらにオクターブ上げ、ハイB♭あたりの音を出します。するとティッシュはわずかにしか動きません。そしてさらに高く、エリックさんならではの音域を吹くとティッシュはほとんど動きません。
(エリックさんはどの音もほぼ同じ音量で吹きました。)
エリックさんは、「このように高い音に行くにしたがって息の出る量は少なくなるのです。」と言い、高い音と低い音の唇の振動の仕方の違いを説明してくれました。高い音のときは唇が小さく細かく動かなければいけないので息の勢いにまかせて出そうとすると唇(振動)の戻りが追いつかなくなり高い音が出なくなるとのこと。なので高い音を小さな音で吹く練習は有効だと言います。
(この時のティッシュを使ったデモンストレーションと同じことを、ジャズ・トランぺッターの辰巳哲也氏がYouTubeで見せてくれているので参考までにリンクを貼っておきます。3分半すぎからです。)
http://www.youtube.com/watch?v=Vn0O5ezIQKU&feature=plcp

【Q2】毎日演奏していく中での身体の疲労対策は?
エリックさんはすかさず「打ち上げです!」と冗談を言い会場を沸かせたのち、「睡眠が一番です。」と答えました。
あとは炭酸水もいいそうです。炭酸水は、血液中に溜まった乳酸を取り除く効果があるそうです。あとは水分を補給することや、血行を良くすることなどがいいそうです。

【Q3】マウスピースは何をお使いですか?
「ヤマハのエリック・ミヤシロ・モデル(EM1)です。」

【Q4】普段どのような練習をされてますか?
「僕はまったく練習してないです。練習きらいなので・・・」と言います。私も昔個人的に同じようなことを聞いたことがありますが、そのときも同じように言われたことを思い出しました。
「でも、常にイメージ・トレーニングはやってますね。BGMなど流れている音楽に合わせてイメージしたり。あとはいつも唇をブルブル振るわせたり、バズィングのようなことをやって常に唇を活性化させてます。」

【Q5】どのように吹いたらトランペットらしい、こもらないきれいな音が出るのでしょうか?
「自分の好きな音色、出したい音色を常にイメージし、身体に染み込ませるようにすればその音に近づいていくと思います。好きなプレイヤーのCDやコンサートをたくさん聴きましょう。」
と、やはりイメージが大切だということを強調されてました。
「あと物理的に考えられることは、マウスピースが深すぎたり大きすぎたりしているかもしれません。マウスピースを見直してみることも必要かもしれません。」

【Q6】安定した音を出すにはどのようにすればよいですか?
「音が揺れてしまうということだとしたら、それは唇や口のまわりの筋肉が原因かもしれません。よくなんでも息のせいにすることが多いのですが、実際はそうではなく口周辺に原因があることが多いです。練習方法は、小さな音で吹くようにしてみてください。そうすることで息に頼ることができないので口の周りの筋肉が良い方向に働いてくれると思います。」

【Q7】中音域で、あたたかい音やファットな音を出すために注意していることはありますか?
「自分の吹きたい音色のイメージを強く持つようにしています。アンブシュアや奏法などのことを細かく考えないようにしています。音楽には様々なジャンルがありますが、それぞれのジャンルに大好きなプレーヤーがいるのでその人の音色をイメージしながら演奏します。モノマネで構いません。モノマネしても自分の解釈で演奏することになるのでその人と同じにはならないのです。それは結果として自分の音になるのでどんどんモノマネしてください。」

【Q8】音の立ち上がりを良くするにはどうすればいいですか?
この質問の意味としては、音が発せられた直後に音程や音色が変化してしまうのをどのように防げばよいか、という質問だと解釈し、エリックさんは回答してくださいました。
「音を発音したあとに口の中のどこかが動いてしまっていることが考えられます。特に考えられることはタンギングです。タンギングは「突く」というイメージを持たれることが多いのですが、実際には「(舌を)放す」というふうに考えた方がいいです。」

【Q9】ライブなどで大切にしていることは何ですか?
「まずは先ほど(第1部で)お話したように、お客様に対するステージ上のマナーですね。」これは、第一部で紹介されたバディ・リッチやメイナード・ファーガソンから教えられたステージ・マナーのことをやはりここでも強調されてました。
「そして、われわれはお客さんとのコミュニケーションや、メッセージを伝えることが大切です。音楽を通してお客さんに何かを感じ取ってほしい。そのためにはまず自分が楽しい気持ちや悲しい気持ちなど、感情を持って吹かなければ音に出てこないと思います。そういう気持ちを大切にしています。」

【Q10】1ヶ月ほど前から音域を広げるために1日15分~30分ペダルトーンを練習するようにしているのですが、ペダルトーンに関するアドバイスをお願いします。
「ペダルトーンの練習は、良い結果が得られる人とそうでない人とはっきり分かれます。ちなみに僕はダメなほうなんです。でも、ペダルトーンを勧めるプレイヤーもたくさんいます。なので、ペダルトーンの練習が自分に合っているかどうかを客観的に判断することも大事です。」と言います。
そして、「ペダルトーンは普通のアンブシュアで吹かないと意味がないと思います。」と言い、エリックさんは実際にトランペットでペダルトーンを吹きます。チューニングのB♭あたりから音階で下がっていき、べダル音域まで下がります。ペダル音域に入ったあたりから口を極端に尖らせてペダルB♭まで吹いて見せます。「このようにアンブシュアを崩して吹いても意味がないと思います。」と言い、次に普通のアンブシュアのまま下がっていきます。するとトランペットの通常の最低音から3度ぐらい下がったところでそれ以上下がれなくなりました。「僕は普通のアンブシュアではこのぐらいまでしか下がれないんです。普通のアンブシュアを崩さないと出ないのであれば、その人はペダルトーンの練習は向いてないのかもしれないです。もし普通のアンブシュアで吹けるのであれば、もしかしたら良い結果を得ることができるかもしれません。でもやりすぎは良くないと思います。15分はやりすぎかもしれないですね。」

【Q11】唇、アパチュア、歯、口の容積、複式呼吸などと、音程、音質の関係を教えてください。
「演奏に関わる身体の各要素のバランスの話でしょうか。どれもすべて大事ですのでどれか1つ欠けても良い演奏はできません。」と言い、質問の意図から外れるかもしれないと前置きした上で、効果的な練習方法を紹介してくれました。
「たくさんのことを休みなしで練習するのは良くありません。なぜかというと、練習したことを身体に覚えさせる時間を与えてあげないといけないからです。おすすめなのは、吹いた時間と同じだけ休みを入れながら練習することです。3分吹いたら3分休むということです。そのための良い練習方法として、パートナーと一緒に2人で練習することです。同じ課題を交互に吹けば、相手が吹いている間は休めるのです。そして、相手が聴いているのでミスしないように集中して吹くことができます。」
そして強調して付け加えました。「練習は量ではありません。質です。」

【Q12】トランペットと出会っていなかったら何をしていたと思いますか?
「まったく考えられないですね。」と言い、土屋氏が「質問者が『ダンサーとか』と書いてますが?」と言うと、エリックさん「僕の踊り見たいですか?」と返し、会場を笑わせます。
そして、「トランペットを吹いてないとしても何らかの音楽関係でしょうね。」土屋氏がさらに「トランペット以外の楽器だとしたら何がお好きですか?」と聞くと、「トロンボーンが好きですね。あとピアノも好きです。」とのことでした。

【Q13】何歳ぐらいまでトランペットを吹けると思いますか?
「死ぬまで吹けると思います。先ほど言いましたように身体的なことを考えても特別な肺活量は必要ないのですし、実際、重度のぜんそくで片方の肺しか使うことができないのに現役で活躍されている有名なトランぺッターもいます。また、年齢を重ねることでその人生経験から出てくる『味』みたいなものも増してくるので自分の中で音楽を持っている限りずっと吹けると思います。」

ここで事前に受け付けた質問は終わりました。そして残った時間は会場のお客さんからの質問に答えてくれることになりました。

【Q14】ビブラートの練習方法を教えてください。
「ビブラートには2種類あると考えてください。」と言い、1つずつ実際に楽器で吹きながら説明してくれました。
「1つは右手で楽器を前後に揺らして唇のテンションを変化させ、音程の変化でビブラートをかけます。これをピッチビブラートと呼んでます。もう1つはモジュレーション・ビブラートと言いますが、歯と歯の隙間を開けたり閉じたりしてワウワウという感じに音を変化させます。これは音程は変わらず音の波形が変化します。」
そして曲の種類によって使い分けるという説明を「オーバー・ザ・レインボー」や「マカレナの乙女」などを実際に吹いてビブラートを聴かせてくれました。ちなみにこの2曲では前者はモジュレーション・ビブラート、後者のようなドラマチックな曲はピッチ・ビブラートが合うと言われました。
また、練習方法としては、たとえばメカニカルな教則本の音階パターンの練習など、つまらない練習(!)などもビブラートをかけて吹くことで効果的なビブラートの練習になると言います。

【Q15】シェイクをかける際のアドバイスをお願いします。
「シェイクはもともとルイ・アームストロングがビブラートを極端にやりすぎて音が上にひっくり返ってしまったのが発端と言われてるみたいです。」と意外なお話を聞かせてくれました。
「なのでシェイクはビブラートの延長と考えた方がやりやすいです。ビブラートの説明で言いましたように、歯と歯の間をビブラートのときよりもっと極端に動かすようにします。スラーの延長と考えない方がいいと思います。もう1つの方法は、やはり先ほど言いました楽器を揺らすビブラートがありますが、これも極端に動かすとシェイクになります。」と言い、実際にやって見せてくれました。
そして、「どうしてもシェイクがかからないのであれば、ある音をイメージし、マウスピースだけで音を出しシェイクします。そしてシェイクしたまま反対の手であとから楽器をそっと差し込みます。」と言い、これも実践して見せてくれました。

【Q16】ライブなどでバテてしまったときはどうしてますか?
「まずはバテないようにペース配分を考えることが大切です。アンコールの最後の音をゴールとして、そこまでのウォーミングアップやリハーサルも含め、すべての配分を考えるようにしています。でももしバテてしまったときは、唇にとって必要なのは新鮮な血液です。唇をブルブルと震わせることや、たくさん水分を摂ることが必要です。」

【Q17】トランペットとフリューゲル・ホルンを持ち替えるときの注意点を教えてください。
「最近ピッコロ・トランペットやフリューゲルに持ち替えることが多いのですが、それぞれまったく別の楽器と考え、どの楽器でも教則本などを練習してます。フリューゲルでアーバンやクラークをやったり。あとはトランペットとフリューゲルのマウスピースを同じリムサイズにした方がいいと思います。そうすればフリューゲルからトランペットに戻れないということがなくなると思います。」

【Q18】メイナード・ファーガソン氏との数々の共演の中で、一番楽しかった(素晴らしかった)ライブ、あるいは曲は何ですか?
「『これが一番』というのはないですね。何度も共演させて頂きましたが、毎回違う感動がありましたのですべてが素晴らしいものでした。ファーガソンはトランぺッターというだけではなく、バンドリーダーという意味でも本当に素晴らしい人でした。また、お客さんに対してのエンターテイナーぶりも本当に素晴らしく、そのあたりを意識して彼のライブ映像を見てみるとまた違った素晴らしさを感じることができると思います。」


以上でQ&Aは終了となりました。
今まで私は何度もエリックさんのクリニックには参加してきましたが、毎回質問コーナーはあるもののこんなにたくさんの質問に答えられたのは初めてだと思います。

最後にエリックさんからお客さんへのメッセージを話されました。

「奏法のことや楽器のことなど、"オタク"と言われるぐらいとことん拘り、とことん調べ、勉強し尽してください。でもステージに立ったらそれらのことは一切忘れて音楽に身を委ねられるようにしてください。そうしないと自分の音楽を聴きにきてくれているお客様に失礼だと思います。ステージに上がったら音楽に集中するようにしましょう。」

このメッセージはエリックさんを象徴するようなお話だと思います。また、そのエリックさんがおっしゃるだけに非常に説得力があります。

そして最後に1曲、Jeff Tyzikの曲をフリューゲルでしっとりと聴かせてくれました。Jeff Tyzikは私の大好きなトランぺッターですが、この曲聴いたことなかったです。なんのアルバムに入ってるのだろう?
エリックさんの透き通るようなフリューゲルの音色に癒されました。

そして最後に握手&サイン会が行われ、100人近いお客さんが列をつくり、一人ひとり憧れのエリックさんとコミュニケーションをとられていたようです。

このようにして銀座山野楽器で行われた「エリック・ミヤシロ Special Talk & Play」はあっという間に終了となりました。

ここで書いた内容は、会場で私が必死にとったメモと記憶をもとに書いたものなので実際の表現とは違いますし、内容も実際はもっと詳しく話されていたということを付け加えておきます。
ともあれ非常に充実した内容のイベントでした。

◇◇◇今回のナビゲーター、土屋氏のブログ「bigband!日誌」にも写真つきで当日の様子が紹介されてます。◇◇◇
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エリック・ミヤシロ Special Talk & Play 先週は「エリック・ミヤシロ Special Talk & Play」というイベントに行ってきました。
場所は銀座山野楽器7Fイベントスペース"JamSpot"。

開始前の注意事項がアナウンスされ、「撮影、録音は禁止・・・」あら、録音禁止ですか。
ボイスレコーダーをバッグにしまい、頼りはメモのみ。

というわけでメモと記憶を頼りにレポートを書いてみようと思います。

今回の内容は、第1部にエリックさんのトランペットとの出会いからプロ活動までの経験されてきた貴重なお話、そして今年12月に山野楽器から発売予定のヤマハ・トランペット YTR-83Aの紹介、第2部にはエリックさんへの質問コーナーという2部構成。

会場にエリックさんが登場すると、まずは最初にトランペットで1曲聴かせてくれました。
実はエリックさん、約2週間ハワイにバカンスに行って帰ってきたばかり。この間楽器を吹いてなかったとのこと、それなのにいつも通りの素晴らしい演奏でした。

そしてトークショーの始まり。ナビゲーターはフリー雑誌「BIGBAND!」を発行されている土屋章氏が進行役として質問を投げかけ、その回答から話が展開していくというスタイル。

まずはエリックさんの幼少時代、トランペットを始められたきっかけについての話題からスタートしました。
お父さんがトランぺッターだったので自宅に楽器やマウスピースがあり、エリックさんはマウスピースをおしゃぶりのようにしていたとのこと。そして、お父さんの影響でトランペットを始めたのは自然な成り行きだったようです。
子供のころから仕事場でのお父さんの姿をよく見ていたそうで、トランペットを吹くお父さんは非常にかっこよく、その姿に憧れを抱いていたそうです。

土屋氏 「小さい頃から天才少年と呼ばれていたという話は有名ですが・・・」
エリック氏 「こんなに苦労した天才っているんですかね。」

なんて会話もありましたが、子供のころからとにかくたくさんトランペットを吹いていたそうです。
でも意外なことにお父さんに教えてもらったことはないらしいです。

「教えてもらわなかったことで先入観がなかったのがよかったみたいです。」と言います。

教えてもらわなかったことで、「高い音は難しい」とか、「シャープがたくさん付くと難しい」などという考え方がなかったとのこと。

「有名な変奏曲『ベニスの謝肉祭』を、調子の悪い(回転数が速い)レコードプレーヤーで聴いていたので半音高かったんです。それに合わせて吹いていたので自然に半音高く吹いてました。でも難しいと思ってなかったです。だって譜面にするとシャープが6つも付いてしまうけど、それを知らなければただ運指が違うだけ。ピストンは3本しかないから大した違いじゃないんです。中学に入ってそれを吹いてたら先輩に『なんでそんな難しいキーで吹いてるの?』って言われました。」

すごい話ですが確かにその通りかもしれないですね、納得です。

土屋氏 「レッスンを受けたことは?」
エリック氏 「中学のころ、先生を紹介されて初めてレッスンに行ったんです。すると、ちょっと吹いては止められて注意される。そして先生がお手本を吹く。またちょっと吹いては止められ・・・の繰り返し。先生が吹いてばっかりで自分はちょっとしか吹けない。だからつまらなくてその1回でやめちゃいました。今までにレッスンというものは全部で5~6回しか受けたことがないと思います。」

しかしそのあとに付け加えられたのは、とにかくいろんなミュージシャンに質問攻めをし、たくさんのことを吸収していったそうです。
また、私生活でもいろいろとご苦労があったそうで、ラッパを吹いているときが何より幸せな時間だったとのこと。とにかく吹きまくってたそうです。

土屋氏 「いつごろからプロになろうと決心しましたか?」
エリック氏 「中学1年生ぐらいのときからプロになろうと思ってました。」
土屋氏 「高校生のときに全米の選抜バンドに選ばれましたよね?」
エリック氏 「はい。アメリカのすべての州から選抜された高校生が集まりカーネギーホールで演奏するんです。」

その選抜バンドの演奏はこれです。↓



高校生ですでにこの演奏です。
Take The "A" Trainでソロを吹いているのはクリス・ボッティです。このときからの友人だそうです。同期生だったんですね。ちなみにマックがスポンサーだったらしいです。

そしてなんとラッキーなことにカーネギーホールでは、ゲストがメイナード・ファーガソンだったそうです。コンサートが終わったあとファーガソンがエリックさんのところにきて「高校を卒業したら僕のバンドに来なさい。」と言われたそうです。
エリックさんはそのときは冗談だと思い受け流したそうですが、実はファーガソンは本気だったらしく、のちにそれを伝えられたそうです。高校生でファーガソンから声がかかる・・・すごいです。

そしてバークリー音楽大学に進んでからの話に移っていきました。

ジャズ・トランペッターといってもいろいろなスタイルがありますが、エリックさんはバークリーに入る前から「リード・トランペットを極める」と決心していたそうです。これは私は初耳でした。
私はこのブログでどこかの記事に「どのリード・トランペッターよりもエリックさんのリードが好きだ」と書いた記憶があります。
もちろん世界中、特にアメリカには魅力的なリード・トランペッターがたくさんいます。なので好きなリード吹きはたくさんいます。でも、エリックさんのリードは一味も二味も違うのです。
一番の魅力は音色でしょうか。一瞬でエリックさんだということがわかるほどの美しい音色です。どんなに高い音でも「美しい」という表現が似合う音色だと思うのです。そしてあのかっこいい吹き回し。ダイナミックな表現の仕方は独特です。

さて、バークリーに入ったエリックさんは、恐らくすでにリード・トランペッターとして十分すぎるほどの腕前だったはずです。
「バークリーに凄いラッパ吹きがいるらしい」という噂が広がっていた、という話をよく聞きますが、それはプロのミュージシャンの間にも伝わっていたようです。
ある日の深夜、「パーティー部屋」と言われていたエリックさんの部屋で仲間と騒いでいたらしいのですが、部屋の電話が鳴り、出てみると相手はバディ・リッチだと名乗ったそうです。エリックさんはだれかのいたずらだと思い、電話を切ってしまったそうです。
しばらくするとまた電話が鳴り、本当にバディ・リッチであることを説明され、本人であることがわかったそうです。
バディ・リッチは、「今日リード・トランペットをクビにしたから明日からウチのバンドに来なさい」と言われたそうです。
エリックさんはこれをチャンスだと受けとり、すぐに荷造りし、退学する旨を学校に伝えてもらうよう友人に託し、翌朝さっそく学校を後にしたそうです。

先にも書いたとおり、バークリーに入る前から「リード・トランペットを極める」と決心していたそうですが、そんなエリックさんもやはり入りたいバンドというのがいくつかあったそうです。
メイナード・ファーガソン・バンド、カウント・ベイシー楽団、ウディ・ハーマン楽団などだそうです。そして、バディ・リッチには「厳しい」「きつい」などの噂があり、入りたくなかったそうです。
そんなバディ・リッチ・ビッグバンドに入ったエリックさんですが、「実際バディ・リッチはどんな人でしたか?」と聞かれると、「素っ晴らしい人でした!」と力強く答えていたのが印象的でした。

バディ・リッチの素晴らしさについての話題は様々なエピソードを交えながら話してくれましたが、その中でもメンバー思いだったという話が特にインパクトがありました。
たとえば、あるコンサート・ツアーで、主催側からメンバーの人種について何か指摘されたそうで、納得のいかないバディ・リッチはこのツアーすべてを蹴り、メンバーと共に退散してしまったということです。ツアーの初日に退散・・・普通ではちょっと考えられませんが、そのぐらいメンバー思いだったとエリックさんはバディ・リッチのことを絶賛してました。ちなみにその時はメンバー全員にツアー2週間分のギャラをバディ・リッチ自身のポケットマネーで払ったそうです。いやぁほんとにすごい人です。

さて、「厳しい」と噂のバディ・リッチ・ビッグバンドですが、その噂どおり大変ハードだったそうです。
ビッグバンドをやっている人ならご存知のとおり、バディ・リッチ・ビッグバンドといえば、まず何よりレパートリーがとにかくキツい曲が多いのです。
今回会場では下の映像の約12分30秒あたりから映し出され、エリックさん「この演奏の前にすでに別の場所で2ステージ演ってるんです・・・」と。
それだけ吹いてきてもこの演奏。。。すごいです。。。



さらに、「バディ・リッチ・ビッグバンドでは、ツアーなどで最高68日間連続で本番の日が続いたことがある。」とも。

こんな過酷なプレイを休みなしで2か月以上毎日・・・凄すぎます。
毎日のプレイがあまりに過酷で唇が切れ、ウォーターキーから赤い液体が。しかし吹き続けなければいけない、今日も明日も明後日も。。。
そんなときのエリックさんの対処法がまたすごい。なんと唇の切れたところをアロンアルファでくっつけてトランペットを吹くんですって。この話にはさすがに会場はどよめきました。
エリックさん曰く「でも瞬間接着剤って医療用に開発されたらしいですよ。止血するときに使えるんです。」とあっけなく言ってましたが。いや、そういう問題じゃないでしょエリックさん。。。と私の心中。

これだけの経験をされてきてるんですね。恐れ入りました。。。

そしてプロ活動の中で、バディ・リッチやメイナード・ファーガソンから、プロとしてのステージマナーについても教えられたそうです。
「お客さんは日常のことを忘れ、夢のひと時を求めて聴きに来てくれている。ステージでは世間話などお客さんを日常に戻してしまうようなことを口にしてはならない。」
これはバディ・リッチ、メイナード・ファーガソン両氏がよく言っていたそうです。この教えは今のエリックさんのステージにそのまま出てきているように思います。
また、バディ・リッチは本番前にメンバーのユニフォームをチェックするそうです。ズボンの折り目がきちんとしているかなど厳しくチェックされるらしいですが、「お客さんは目でも聴いている。」と、やはりステージマナーについてはとことん厳しかったようです。

まだまだいろんなお話がありここですべてを紹介することはできませんが、なにしろ大変厳しい世界で徹底的に活動されてきた内容と量は、われわれの想像を遥かに超えており、その経験あってこそのあのスーパープレイなのだということを痛感させられました。

もっといろんなお話を聞きたかったところですが、時間に限りがあるのでエリックさんの経験談はこの辺で終了となりました。

そして第1部の最後に今年12月に山野楽器から発売予定となっている最新型のYTR-83シリーズの紹介がありました。
1992年に、当時ボビー・シューが使っていたヤマハ・トランペット YTR-6310Zを元に各部をアレンジし、山野楽器オリジナル・モデルとして発売されたヤマハ・トランペットがYTR-83です。
このYTR-83は、ボビー・シューにYTR-6310Zを勧められたエリックさんが、6310Zをどうしても吹きこなすことができず、エリックさんの監修で各部を検証、改良し山野楽器オリジナル・トランペットとして発売されたということです。現在のYTR-8340EMが登場するまで長らくエリックさんが使っていたことでも知られています。
今までに何度かマイナーチェンジされたこともあり、そして一時は販売終了に至ったが、その後また販売を再開したと記憶しています。
そして今回山野楽器120周年記念モデルとして新たにエリック・ミヤシロ氏をはじめ、様々なプロ・ミュージシャンの意見を採り入れ更なる改良が加えられ、「YTR-83A」というモデル名で発売されるそうです。
変更点は、延べ座の位置変更、2番管のカニ目やウォーターキーの台座・臼の半田付け、イエローブラスのリードパイプ、サイドシームのベル、その他もろもろです。(下記画像参照)
また、「YTR-83ASP」として、銀メッキ仕様も同時に発売されるそうです。こちらは各抜差し管、ピストンボタン、上下キャップなど部分的にゴールドラッカーになるそうです。


ヤマハ・トランペット YTR-83A

ヤマハ・トランペット YTR-83A


今回の「エリック・ミヤシロ Special Talk & Play」第1部は1時間を少し超えたところで終了となり、休憩時間となりました。
第2部はQ&Aコーナーということで、事前に寄せられたたくさんの質問や会場の聴講者からの質問に一つずつ解りやすく答えてくださいました。
その内容は次回の記事に書けたら書こうと思ってます。
中1からトランペットを始めた長男は現在中2。
今まで私のお古のトランペットを使わせていたが、今年入ってきた1年生もすでに新しいトランペットを買い始めているらしく、今まで我慢してきた息子も最近さすがに自分のトランペットが欲しくなってきたようだった。しつこくねだってくるようになってきたのでいよいよ新しいトランペットを買ってあげることにした。

初心者がトランペットを選ぶ際、非常に大切な条件がある。それは「楽に音が出せる(鳴らせる)楽器を使うこと」。これはトランペットの世界では常識と言っていいだろう。
初心者はただでさえ音を出すことに労力を使うことになるため、少しでも楽に吹ける楽器を選ぶことが重要になってくる。その結果、無駄な力を使わずリラックスした状態で練習をすることになり、その分早く上達していくのだ。
上級者向けの楽器というのは豊かな響きを得ることができる。しかしそれは演奏者にそれだけの技量があるからこその話であり、つまりそれなりの労力(上級者は労力と感じないが)を使っていることになる。初心者の場合、このような言うなれば労力を必要とする楽器よりも、いわゆる初心者向けに作られた楽器のほうが、結果として魅力的な音色を奏でることができると私は考える。
私はそのようなことから、息子にはヤマハのYTR-2335か4335あたりを候補として考えていた。

しかしそうもいかない事情があった。
それは、吹奏楽部のトランペットのメンバーの個人が所有している楽器はすべてバックだということだからだ。
吹奏楽部の伝統なのか、はたまた方針なのかわからないが、おそらく以前からトランペットはバックを使うという流れが根付いてしまったのではないだろうか。

現在1年生から3年生までほとんどの子の楽器は個人所有で、すべてシルバーのバックらしい。そんな状況の中、ウチの子だけヤマハというわけにもいかなそうだし、みんながバックを持っていれば当然本人だってバックを欲しがるのも仕方のないことだろう。
というわけでバックを買ってあげることになったのだ。


さて、久しぶりに楽器選定をすることになる。
買うのはバック180ML37/25シルバー・・・つまり一番フツーのバックだ。
まったく同じモデルの中から良いものを選ぶ。
安い買い物ではない・・・なるべく息子と相性のいい個体を選んであげたい。
どんなふうに選定するべきか。自分の楽器なら選びやすいが・・・

「そうだ、エリックさんに相談してみよう!」

早速電話をかけ、
「・・・というわけなんですが、選定のしかたをアドバイスいただきたいのですが。」

・・・いろいろとアドバイスをいただき・・・

「ありがとうございました。」
「どこで買うの?」
「シアズさんです。」
「いつ行くの?」
「○月○日に行こうと思ってます。」
「・・・そっかぁ、見てあげたかったけどその日は予定が入っちゃってるな。」

えっ!!

こんなチャンスは滅多にありません。何度か電話でやりとりし、エリックさんの超多忙なスケジュールのピンポイントのすき間に私と息子のために時間を取って頂けた。
そしていつもお世話になっているシアズの吉野さんにも立ち会っていただけるようスケジュールを調整して頂くことができた。

こうして私の息子の楽器選定にエリックさんがお手伝いして頂けることになったのです。

実は我家とエリックさんファミリーとは10年以上前から交流を持たせて頂いており、息子は2歳ごろから何度となくエリックさんとお会いしている。
しかし今回息子がエリックさんとお会いするのは数年ぶり。さすがに緊張しているようだった。

シアズさんは4本の在庫を確保してくれていた。
トランペット選定
試奏するエリック宮城氏
エリックさんはまず4本のトランペットを順番に、マウスパイプを覗いたり、チューニングスライドを抜いてみたり、その他楽器の各部を念入りにチェックしてくださった。
そしてエリックさんはこの4本のトランペットを順番に吹いてみる。簡単なフレーズを丁寧に確認するように吹いていた。全て吹き終わると「4本とも問題ないね。」と言い、息子に「この中で気に入った楽器はあった?」と聞く。
息子はエリックさんが到着する前に予め少し試奏していた。息子は端から2本目を指差し「これが吹きやすい気がしました。」と答えた。

そしてエリックさんのアドバイスを受けながら選定開始。
今回はエリックさんに選定して頂くわけではない。エリックさんのアドバイスを頂きながら、あくまで息子が自分で吹き、相性の合う楽器を選定するという形をとる。

エリックさんからお聞きした楽器選定のポイントは、「あまりたくさん吹かないこと」だそうだ。
1本あたりにたくさん時間をかけてしまうとその楽器に身体が慣れてしまい自分に合う楽器と合わない楽器がわかりづらくなってしまうらしい。
まずエリックさんは私の息子に「学校でやっている曲の一部分を短くていいから吹いてごらん。」と言い、息子は部活で吹いている曲の中の1フレーズを吹く。
トランペット選定
全く同じフレーズを1本ずつ順番に吹いていく。3本目の楽器を吹いたとき、上のF(実音E♭)をはずしてしまった。
エリックさんは「この楽器に対してすぐに悪い印象を持たずに一度唇をブルブルと震わせ、唇をリセットしてからもう一度吹いてごらん。」とアドバイスする。
息子は唇をブルブルと震わせリセットし、もう一度同じフレーズを吹く。
今度は同じFのところで音ははずさなかったが少しかすれてしまった。
エリックさんは「2回ともうまくいかなかったからこの楽器は候補から外しましょう。」と言って、この楽器を逆向きにテーブルに置いた。
続いて4本目。3本目でうまくいかなかったところも問題なく吹くことができてクリア。

「次に下のドぐらいから音階を吹いていき、出せるところまで上がっていってごらん。」
息子は1本ずつ音階を吹いていく。1本目と2本目は上のソあたりまできちんと音が出た。3本目はとばし、4本目を吹いたとき、上のソがかすれた。先ほどと同じように唇をブルブルと震わせリセットさせる。そしてもう一度吹いてみたが、やはり上のソでかすれた。
「これも候補から外していいでしょう。」
ということであっという間に2本に絞られた。

「今度は吹きやすい音を、pからfまでクレッシェンドしていってごらん。」
息子はチューニングのB♭を小さい音で吹き始め、少しずつ音量を上げていく。1本目と2本目を吹き終わり、聴いている私には大きな違いは感じられなかった。
エリックさんは息子に「どっちの方が楽に吹けた?」と聞くと、息子は2本目を指差し「こっちの方が楽に吹けたような気がしました。」と答えた。
するとエリックさんは「それならこれ(2本目)に決めてもいいんじゃないかな。」と言い、無事4本の中から息子に合う1本が選ばれた。

楽器選定のポイントとして「あまりたくさん吹かないこと」と聞いてはいたが、ここまで少ししか吹かずに決めてしまうんだなと少しビックリした。


楽器選定が終わり、今度は図々しくも息子の奏法を見ていただいた。
息子の前歯は上と下の歯の前後関係の位置に大きな差があり、そのせいで楽器がかなり下を向く。
私は「下アゴを前に出して楽器がもう少し前を向くようにした方がいいですか?」と聞くと、エリックさんは息子の吹いているときの状態や歯の状態などをチェックし、「このままで問題ないよ。」と言われた。
理由は、下アゴをわざわざ出して楽器を吹くと、アゴの下から首筋にかけての筋肉に力が入り、無理をした奏法になってしまうとのことだった。
「もっとベルを上げて」と言われたら、首の角度を変えるのではなく、上体(腰から上)を反らすようにしてベルを上げればいいとのことだ。
        
         我が息子の奏法を念入りにチェックするエリック氏



このあと、息子からの質問「高い音を太くするにはどうすればいいのですか?」に対してエリックさんは、実演を交えながら実に丁寧に詳しく教えてくれた。
        



エリック・ミヤシロEM1マウスピース
エリック氏からマウスピースのプレゼント!!
そして最後になんとエリックさんから普通では考えられないサプライズ・プレゼントが息子に手渡された。
それはなんとエリックさんが普段、予備として持ち歩いているマウスピース、ヤマハのEM1!
これには息子はもちろんのこと、どちらかと言うと私やシアズの吉野さんの方が驚いた!!
        


そしてこのあとは大変マニアックな内容盛りだくさんの時間に突入。
私は吉野さんとエリックさんの会話について行くのがやっとでした。

このようにして楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。



吉野さん、スケジュールの調整やその他様々なフォローをありがとうございました。
そしてエリックさん、この度はお忙しい中、本当にありがとうございました。
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